羽毛(ダウン・フェザー)について。

  ふとんの詰め物(中わた)はいろいろありますが、掛けふとんに関して羽毛以上の詰め物は見当たりません。ここでは、羽毛の発生や種類などについてお話したいと思います。 

1.羽毛とは、どのようなものでしょう。

 ふとんに使われるのは水鳥の体毛。主にガチョウとアヒルの羽毛です。ガチョウは雁を、アヒルは鴨を家禽(かきん)化したもの。ガチョウやアヒルは肉、フォアグラ、卵を得るために飼育され、羽毛は副産物といえます。そのほか、わずかですが極地に生息する野生の鴨「アイダー」の羽毛も採取されます。

 羽毛には大別すると2種類あり、1つは羽根、もう1つは綿羽(わたばね)と呼ばれます。英語で羽根はフェザー(Feather)、綿羽はダウン(Down)と言います。ダウンが羽毛のことだと勘違いされることが少なくありませんが、羽毛は綿羽(ダウン)と羽根(フェザー)の総称です。

 フェザーの中央には芯状の羽軸(うじく)があり、両側に羽枝(うし)と呼ばれる柔らかい繊維がついています。ダウンは羽軸を持たず、柔らかく細い羽枝が元羽軸(もとうじく)から広がり、タンポポの穂に似た形をしています。一羽の水鳥から取れるダウンの量はわずか1020グラム程度です。ダウンを水鳥の胸毛だと思っている人もいますが、そうではありません。ダウンは水鳥の全身に生え、そのうち空気を多く含むことができる大きなダウンは体の側面と前面に多く見られます。

2.付着している不純物はどうやって取り除くの?

 ガチョウやアヒルから採取したばかりの羽毛は体液や砂などが付着しています、油脂分が高いため、ふとんには精製してから使います。まず、付着している大きなゴミを取り除き、次に洗剤が入った水で洗います。十分にすすぎ、脱水機で水を切った後、乾燥機でさらに水分を飛ばします。冷却除塵機の中で羽毛を冷やしながら細かいチリや埃を取り除き、最後に風力でダウンやフェザーに選別します。

 羽毛に関するJIS(日本工業規格)には、洗いの状態(清浄度)、成分の比率(組成混合率)、かさ高性など6項目の試験方法があります。清浄度は試験機を使って蒸留水に汚れを抽出、汚れた水の透視度を調べます。組成昆合率は羽毛に含まれるダウン、フェザー、異物等の混合状態を重量比で測定します。かさ高性は円筒の試験機に羽毛を一定量入れ、規定の円盤で加重した後、円盤の高さをミリメートル単位で測定します。

3.グースとダック、どちらが良いのでしょう。

 布団の原料として、ガチョウ(グース)とアヒル(ダック)のどちらのダウンが良いかは一概に言えません。ガチョウはアヒルより体形が大きいため、成長した鳥のダウンの球を比較するとガチョウの方が大きく、その分、保温性などの性能が優れています。けれども、成熟したガチョウのダウンは採取量が減り、希少です。安いグースのものは未成熟な小さいダウンが多く、適正な価格で成熟したダックを購入した方が寝心地がよい場合もあります。

 

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